2012年10月19日金曜日

学校では教えてくれない歴史の話

 この手のブログは常にネタ切れの心配と戦わなければならない、と一人で勝手に戦々恐々としている理系担当のNです。
 だがしかし、この信州大学付属中央図書館に眠る蔵書は50万冊。本の紹介をしていけばネタ切れの心配など無用なのです。

 というわけで、今回は歴史に関するお話です。だけど理系担当なので世界史やら日本史は大嫌いでした。今回は科学の歴史です。



 科学の歴史とはいえ色々とありますが、大体の人が想像するのは「歴史的大発見」に関するものでしょう。アインシュタインの相対性理論、ダーウィンの進化論、フェルマーの最終定理の証明、iPS細胞などなど……。
 けれど「発見」というものは突如湧き出るものではありません。アインシュタインの相対論の前には既に似たような数式が見出されていたり、フェルマーの最終定理は実はまったく違う数学の分野の話が絡んでいたり、その裏には必ず「発見史」とでも呼ぶべき歴史があります。
 

 案外そういうお話は面白い上に、大変勉強になります。また、科学者としてはモチベーションを高めるのに最適ですし、そのような話を知るだけで科学という重要な学校では中々教えてもらえません。そこでこの中央図書館にて何冊か探してみました。


・セレンディピティー―思いがけない発見・発明のドラマ―
 (RM.ロバーツ 著、安藤喬志 訳)

 先日、名古屋大学の篠原先生が信州大学理学部で講演をされました。その時、
科学の発見には大きく分けで天才タイプとセレンディピティ―タイプという2つの種類がある。天才タイプとは長く考え続けて、ある時ハッと閃くもの。そしてセレンディピティ―タイプとは、偶然の発見を見逃さずに捕まえるものだ。
と仰られておりました。そして、セレンディピティ―タイプも立派な発見であり、偶然思わぬ所から現れた結果を、逃さずに捕える事は意外と難しい、とも語られました。実際、X線やフラーレンのような、元々の目的から外れた部分でノーベル賞級の発見をすることが科学ではよくあります。
 本書はそのようなエピソードを集めた本です。30個以上のエピソードに加え、解説も加えられているものもあります。自分の興味があるものだけでも、読んでみてはどうでしょうか。

・人物で語る物理入門 上・下
(米沢富美子 著)
 
 相対性理論や量子力学に代表されるように、物理という学問はその歴史の中で幾度か我々の世界観を大きく変革させる発見がなされています。この本はそんな発見をした学者の人物像を中心に解説を行っています。もちろん、数式などは出てきません。雑学として物理を知っておきたい、という人にもぴったりな一冊です。また、女性の物理学者の功績についてもしっかりと記述されているため、女性にも楽しんでいただける一冊です。

・「大発見」の思考法 iPS細胞 vs. 素粒子
(山中伸弥 益川敏英 著)

 ノーベル賞を受賞したお二人(この本が書かれた当時は、山中先生はまだ受賞してませんが)による対談形式の本。「発見の歴史」とは少し違うものですが、現代の発見がいかにして行われたか、またそれはどのような人に見出されたのか、ということは非常に興味深いテーマです。過去の発見もまた重要な歴史ですが、科学の世界はまさに日進月歩のため、このような“今”のテーマについても触れてみるべきかもしれません。それはそうと、やっぱりノーベル賞をとった先生の話は気になりますよね。ちなみに vs.とかなってますが、別に戦ってなんていません。


 もう少しあるような気はしますが、それはそれで専門性の高いテーマになってしまいそうなのでこのあたりで打ち止めです。
 これに興味を持たれたのならば、ぜひとも中央図書館で探してみてください。さらに専門的な内容まで昇華した本も多くあるため、理数系の学生の勉強にもぴったりです。

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